木造住宅でリノベーション検討中の人

木造住宅を改装したいのですが
価値があるのか教えてください。

これからお金をかけて
無駄にならないかしら?

そんな疑問にこたえます。
一級建築士で35年仕事をしています。
木造住宅にお金をかける場合、意外に表面的な部分にとらわれがちです。
住宅の寿命をのばすためには、リノベーションを実施することです。
住宅の価値は実寿命がポイントになります。以下では詳しく解説します
木造住宅 リノベーションで価値向上
耐震性や機能向上が大切です。
リフォームは一般的ですが、経年の住宅の価値降下を防ぐためには、
一歩進んでリノベーションで性能向上を図って、資産価値が上げる必要があります。
具体的には、耐震性や機能を向上させるようなリノベーションにより、
全体的な性能をアップさせる必要があります。
価値が上がらない例
・古いので、今のうちに新築みたいにする |
新しくすることや、部屋を少し広く使うなどは、当初は気分的には良いのですが、
実際の木造住宅としての相場価格が上がるわけではありません。
工事により目的が違う【リノベーションの定義】
リフォームの場合、美観上や修理の要素にとどまります。⇒すぐに古くなる。
リフォーム | もともとの仕様に復旧したり、新しくする |
リノベーション | 耐震性や機能を向上させて、全体的な性能アップ |
コンバージョン | 別の用途に変更させたり、新しい用途が加わる |
よくある質問にこたえます
よくある質問にこたえます。
よくある質問
・全建物リノベ―ション可能か ・価値はどのように、決まるのか ・建物の耐用年数は重要なのか ・木造住宅と耐用年数の関係は ・耐用年数、住宅価格への影響 ・相場価格はどのように決まるか |
記事では木造住宅を例に挙げて、リノベーションと相場価格との関係について説明します。
どの建物もリノベ―ション可能か
どんな建物でもリノベーションは可能ですが、効果が出やすいのは木造住宅です。
木造住宅の場合、構造部分に対して効果的に使うことが可能です。
実際に居住する場合、木造住宅は他の構造に比べて、追加的な工事が容易です。
適切な経年老朽化の進行防止や、屋根組や壁面へ耐震補強を実施する等により、
60年~100年は当たり前で、さらに寿命を長くすることも可能です。
価値はどのように、決まるのか
一般的な評価の仕方は以下です。
住宅の評価額 =土地価格+建物価格 |
□土地価格
土地価格=
a)路線価格×敷地面積×(b)掛け目(補正率)
路線価格や掛け目は、不動産鑑定士が税務上の根拠として役所的に決められます。
土地の形状に変動がなければ、価格自体は平均的に変動し、あまり介入の余地はありません。
(a)路線価格と(b)掛け目 の細かな基準があります。
路線価格↓
□建物価格
建物価格=新築建物価格×延べ床面積×(c)法定耐用年数の経過割合
(c)法定耐用年数
建物構造 | 耐用年数 |
鉄骨鉄筋コンクリート・鉄筋コンクリート | 47年 |
鉄骨造 | 34年 |
軽量鉄骨造 | 27年 |
木造 | 22年 |
耐用年数は税務上の償却率が数値化されています。
構造ごとに耐用年数が定められています。
建物構造ごとに表記の耐用年数に近づけば、
建物価値は次第に限りなく無価値になることを示しています。
やがて建物が無価値・・・ 住宅全体の評価額は、
時間が経てば、自動減少 ?
建物の耐用年数はどれほど重要か
建物の実寿命には関係ありません。ただし銀行融資や不動産取引上、評価の目安にしています。
建物の耐用年数とは、税務上の償却年数を、そのまま耐用という言葉や数字に置き換えたものです。
その解釈では、中古の木造住宅の建物部分に対しては、ほとんど評価されなくなると聞かれたことがあると思います。
つまり、決められた年数分が経過すると、一般的に寿命が来たように錯覚します。
住宅の価値を示す場合、建物部分だけでなく、土地部分もあるので、複雑になります。
そのあたりの説明を補足し、なぜリノベーションが必要かを解説していきます。
木造住宅と耐用年数の関係は
年数経過にともない、住宅の評価額がどのように推移するか試算してみます。
試算例
試算例) *路線価(掛け目1=平均的な条件)13万/㎡ 建築工事単価16万/㎡
住宅の評価額=土地価格+建物価格 土地価格 は 95㎡×13万/㎡ ざっとこんな感じで計算して整理しますと 仮に22年経過した例で計算すると、土地価格だけの評価となり 住宅の評価額は半分で 2611万円⇒1235万円という計算になります。 |
木造住宅全体、約20年経過で、ほぼ半値......。 えっ!
ここが一番大きな問題です‼
建物部分は、経過約20年で無価値に近い……、扱い。
耐用年数、木造住宅価格への影響
最近は影響が軽微になり始めています。
耐用年数はすこし以前までは、木造住宅の相場にかなり影響しました。
ただ土地でも、建物でも基本的に固定資産税や銀行貸し付け利率を決める際に、
法律的に基準を設けたという経緯があります。
最近は、「期待耐用年数」という言葉がよく使われるようになりました。
耐用年数の替わりに、実体の建物の寿命をあらわす表現です。
相場価格は、どのように決まるか
実際の不動産売買では、どのように相場価格が決まっていくかを解説します。
以下では、例)を挙げて検証します。
例1)個人が持ち家を売買する場合
・売り出し価格 建物の耐用年数を根拠にされ、安く処分する傾向があります。
・買い入れ価格 耐用年数はあまり気にせずに、立地条件・間取りや美観及び水回りを含めた設備状態などを確認して、
例2)不動産業などの専門家間での売買 ・売り出し価格 不人気な販売実績とわかっている周辺土地環境であれば、比較的安価でも取引する。 背景としては、耐用年数に関係なく、実売買として流通させることが重要となる。
・買い入れ価格 不人気な取引実績の周辺土地環境や取引事例がわかっていれば、買い急がれず、 一般人であることから、再販売することを想定する。 要するに、耐用年数に関係なく、実売買として流通させることが重要と考える。 結局は売買の駆け引きと需給次第 |
実際の不動産売買の取引では、需給優先です。
耐用年数の扱い方
・建物の耐用年数はほぼ無視して良い |
まとめ 木造住宅の価値を上げる
記事のまとめ
木造住宅の価値を上げる
・リノベーションで価値が上がる ・耐震性や機能を重視して実施する ・木造住宅は効果が大きい ・土地は自分の判断評価に限界がある ・建物部分はメンテ次第で価値向上 ・耐用年数は無視して良い |
参考
木造住宅 リノベーションで家の寿命を延ばす【驚くほどの耐震性】
木造住宅 リノベーション30年補強工事【確認する6ポイント】
木造住宅 耐震補強工事で地震に備える3ステップ【リノベーション】