木造住宅を購入する場合
中古か新築かを検討している人
よくある質問
「住宅購入を検討していますが、どちらが良いですか。」
「用意する費用に対して、あとでメリットがある方はどちらですか。」
こんな疑問にこたえます。
一級建築士で35年仕事をしています。
今回は、『木造住宅、中古か新築どちらに購入メリットがあるか』について、
費用効率の視点から解説します。
木造住宅、中古か新築どちらに購入メリットか
投下する費用に対して、価値があるのは、圧倒的に中古住宅の方です。
中古住宅をすすめる理由
・購入タイミング次第で、リスク極小 ・比較情報の中から自由に選べる ・予算に応じて、計画が立てやすい ・掘り出し物件がある ・新築との差額をストックできる ・投資ビジネスが成立する |
順次、解説していきます。
新築住宅と中古住宅、言葉による違い
新築住宅と中古住宅の違いについて、少し説明します。
不動産の業界では、言葉の違いによって、扱い方にもハッキリした開きがあります。
新築と中古の違い
建築完了後
・1年以内 ・・・新築 |
住宅は完了後、1年以内は新築住宅。
1年経過すると、中古住宅になります。
新築住宅に一度誰かが居住すると、中古住宅として扱われます。
居住期間は関係なし。
これは、トラブル防止のため、統一的な不動産業界の分け方です。
自動車の場合では、新車から1年経過程度では、「新古車」
という言い方で販売されているのを、時々見かけますね。
住宅の場合、中間的に「新古住宅」とは呼ばれることなく、
バッサリと、「中古住宅」という表現になります。
新築住宅について、です。
新築住宅 ローン開始直後に相場下落
新築住宅の価格は、ローン開始直後には、すでに相場価格は下がります。
住宅価格イメージ
新築住宅 土地価格+新築建物価格+(業者金利) |
中古住宅 土地価格+経過年数による建物価格 |
新築住宅の建物価格
分譲新築住宅の場合、売却完了までの期間を想定。
業者側が金利分を販売価格に加えます。
中古住宅の建物価格
経過年数に応じて、徐々に価格は下がります。
一方、建物がデザインが良いとか、
構造が丈夫そう‥‥等の特徴的な魅力があれば、加点評価されます。
土地部分の価格
新築・中古ともに周辺価格と連動するようになります。
土地部分については、周辺の取引事例や路線価などが実態となっています。
住宅価格の形成過程を、以下に解説します。
住宅取得1年後の建物相場
新築住宅相場 一律2割ダウン |
中古住宅相場 耐用年数による軽減 |
新築住宅1年後は、例外なく2割ダウン。
もうすでに、中古住宅扱いです。
これでは、新築住宅のメリットがありません。
新築住宅を購入後、すぐ販売しても、2割程度価格は下落します。
建物が1年前後で急激に劣化することは考えられません。
それでも、現実の相場では、このような扱いになってしまいます。
ただし、いったん中古住宅扱いになると、新築直後とは事情が変わります。
その後は、急激なカーブで価格が下落することはありません。
次は、中古の木造住宅です。
中古住宅は、15年経過物件に費用面でメリット
中古住宅は15年経過するころ購入すると、費用面でメリットが出てきます。
ほぼ、15年経過する頃から、相場価格は、格段に値下がり幅が小さくなります。
実勢価格は下がり続けない【補足】
値下がり幅が緩やかになる理由。
評価するポイントが変っていくからです。
住宅価格が、下げ止まり始めると、評価ポイントが少しづつ変わり始めます。
建物自体の老朽化程度、耐震性、全体仕様の雰囲気やグレード感が、次第に重要視されるようになります。
投資対象として考えれば、分かりやすいです。
仮に2件目の住宅を投資物件として購入する場合はどうでしょうか。
投資対象として、分譲新築住宅の購入動機は発生しません。
やはり、一定築年数が経過した中古住宅を購入されます。
初めて購入する場合でも、投資価値と割り切れば、同じ考え方に行きつくと思います。
政府も中古木造住宅の活用を進めています
国土交通省
https://www.mlit.go.jp/common/001237294.pdf
木造住宅の実体相場と耐用年数【補足】
中古住宅、耐用年数の試算金額と、実体相場とは一致しません。
不動産業を職業にする方は、安く仕入れたいので「耐用年数」を引用します。
その方が、仕入れ交渉に有利だからです。
流通の仕組み上、耐用年数を反映した価格と実体相場価格とが一致しないのは、ごく自然かもしれません。
耐用年数とは、建物の実際の寿命を表す言葉ではありません。
耐用年数は、あくまでも課税処理上の減価償却期間を表わす言語。
実際に、その建物の寿命を表すわけではありません。
記事:木造住宅の補強
木造住宅 リノベーションで家の寿命を延ばす【驚くほどの耐震性】
ローン返済の問題点
新築住宅の場合、長期ローンが一般的です。
途中で中古の木造住宅を売却するとき
途中で住宅を売却する状況になった場合、借入残金を一括返済しなければ、売却することができません。
借り入れ一括返済をどうするか‥‥、大変なリスクです。
買い手側の都合でもあり、一旦、住宅から担保を外した状態にする必要があるからです。
住宅の価値だけが確実に目減り
資産目減りのリスクは、断然新築の方が大きい。
新築・中古住宅ともに、住宅の建物部分の評価は時間とともに、確実に値下がりします。
ただ、中古住宅については、相場の値下がり率は緩やかです。この違いが大きいのです。
新築住宅を長期ローンで借入し、毎年銀行返済する場合。
返済開始後の何年間は、ほとんど元金返済に充当されません。
その一方で、住宅の相場価格だけは、確実に目減りしていきます。
新築住宅の相場価格下落率が大きい分、各段にリスクが大きいのです。
借り入れ交渉の段階。銀行に対して、元金均等払いによる返済計画を合意させましょう。
まとめ
新築の木造住宅
・初年度で、相場価格は確実に2割下がる ・所有後、即売却でも2割下落 ・長期ローンの初動は元金返済が進まない ・中途売却するときは、全額返済後が条件 |
中古の木造住宅、購入メリット
・購入タイミングしだいで、リスク極小 ・比較情報の中から自由に選べる ・予算に応じて、計画が立てやすい ・掘り出し物件がある ・新築との差額をストックできる ・投資ビジネスとして成立する |
新築住宅は、特に、独自設計による場合
中古住宅とは比較する視点が全く異なります。
記事では、投資価値を基準に比較しましたので、新築住宅の良さは、あえて表現していません。
木造住宅の場合、耐震補強工事をすることによって、住宅の寿命を延ばすことが可能です。
地震対策も、手掛けやすいメリットがあります。
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